目次
はじめに
こんにちは、経営情報学科二年、午前一時です。
皆さんは「経営情報学科」という学科を知っていますか?
あまり聞き馴染みのない学科だと思います。(なぜなら、全国に一つしかない学科なので)
専門科目は主に簿記、原価計算といった経営関係です。
一年生のうちに簿記三級の内容を大体習えるので、一年生のうちに簿記三級をとることも可能です。
さて、今回の記事では二年生で習う簿記二級、一級範囲の「原価計算」と「管理会計」について前後編に分けて取り上げます。
前編では「原価計算」の、特に私がこれは覚えてたほうがいいなと思った分野について書いています。
原価計算ってそもそも何?
「製品を作るのにかかったお金の計算」のこと
簿記では基本的に売買やり取りの記録をしていましたが、原価計算では勘定科目が「材料費」「労務費」「経費」といったものになり、主に製造業で使われる計算手続きになります。
簡潔に言うと「製品を作るのにかかったお金の計算」です。
理解しておきたい単語
「製造原価」と「総原価」
「製造原価」
製品を製造するためにかかった費用。材料費+労務費+経費(かなり始めの問題なら「製造するのにかかった費用」って丁寧に書いてあるので全部足したら出ます)
「総原価」
製造原価に「販売費」「一般管理費」を足したもの。
※物づくりに貢献していない、異例な費用(支払利息や火災損失)は製造原価に含めない。
原価要素と「賦課」「配賦」
原価計算って難しい単語がかなり出てくるんですが、この「賦課」と「配賦」は特に忘れた頃に出てくると何も分からなくなったりするので、きちんと理解して覚えておくのが吉です。
原価要素
原価の三要素:材料費、労務費、経費
原価要素(製品):製造直接費、製造間接費
材料費 | 労務費 | 経費 | |
製造直接費 | 直接材料費 | 直接労務費 | 直接経費 |
製造間接費 | 間接材料費 | 間接労務費 | 間接経費 |
Q.なんで区別してあるの?
A. 特定の製品にだけ使われているか色んな製品に使われているかで違うからなのだ。
例えば、マインクラフトで何もない砂漠地帯に木造の家とボートを同時並行で作るとする。
商人から「ドア」をエメラルド2つ、「木材」1スタックをエメラルド4個で買ったとして、「ドア」は家にしか使わないので対価のエメラルド2つは直接材料費になる。
「木材」は家にもボートにも使うのでエメラルド3つは間接材料費になる。
こんな感じです。
原価要素(操業度):固定費、変動費、準固定費、準変動費
固定費:動かない。変わらない。(”固定”費だから)例:減価償却
変動費:動く。操業度に比例して発生額が変わる。(”変動”費だから)例:直接材料費
準固定費:階段型のグラフで表される。
準変動費:切片が0ではない比例グラフの見た目。
賦課と配賦
賦課:製造直接費を特定の製品に集計する
配賦:製造間接費を各製品に配分する
特に「配賦」、いきなり出てくると分からなくなります。
期末テストに出てきて何をどうすれば……となったので、どうか同じ轍を踏む人がいませんように。
とはいえ計算はとっても簡単なので身構えないでください。
例:マインクラフトの砂漠地帯で家とボートを作っている人
家とボートを作り上げるのにエメラルドは合計50個必要になった。
そのうち、家に使ったエメラルドは6個、ボートに使ったエメラルドは4個(直接材料費)。
木材に使ったエメラルドは40個。
製造間接費であるエメラルド40個は家に80%、ボートに20%の割合で配賦する。
例のような問題があったとする(実際にはマインクラフトで例える問題は出てきませんが、ここでは分かりやすいようにマインクラフトで例えています)。
家の直接材料費はエメラルド6個、製造間接費は40×80%=32個
ボートの直接材料費はエメラルド4個、製造間接費は40×20%=8個
基本的な計算はこうなっています。
ぶっちゃけ、始めの頃にやる原価計算は書いてある通りに足していけば解けます。
「配賦」は書かれてある割合を「製造間接費」(これも大体書いてある)にかければ解けます。
☆「配賦」は「製造間接費」を配分する
これさえ覚えれば大丈夫です。
製造間接費を自分で計算して配分しなきゃいけないような問題が出ても上の一文を覚えれば安心です。
*ひとやすみTips*
経営情報学科はクラスの八割が女子。
男子はみんな仲良し。
全体的に和気藹々としてます。(主観)
総合原価計算の平均法と先入先出法
総合原価計算のやり方は覚えておくと管理会計にも使える場面があるので覚えるというよりは身に着けましょう。
*ボックスを作ろう!
例:マインクラフトの砂漠地帯で木造建築の城をつくろうとしている人
①生産データ
月初仕掛品(前月までに既にある木材たち):100個(加工進捗度50%)
当月投入(今月得た木材たち):500個
合計:600個
月末仕掛品(今月末に残った木材たち):200個(加工進捗度40%)
完成品:400個
②月初仕掛品原価:エメラルド500個
内訳(素材費:350個 加工費:150個)
③当月製造費用:エメラルド1000個
内訳(素材費:500個、労務費:200個、工場消耗品費:170個、経費:130個)
こんな資料があったとする。ここからボックスを作ろう。
*平均法–全体を足して平均で出す
ボックスというのはこんな見た目になります。
加工ボックスの月初仕掛品と月末仕掛品は、生産データの「加工進捗度」の値をかけて出します。(100×50%、200×40%、というような計算)
ボックスの左右のそれぞれの合計値は等しく、完成品の値は変動しないため、加工ボックスでは当月投入量が素材ボックスとは異なる値になります。
ここまで作ったら次にボックスの左に費用を書き込んでいきます。
この費用の合計を右側の合計個数で割って単価を出します。
ここで出た単価×完成品の個数=完成品原価
左の費用の合計ー完成品原価=月末仕掛品原価
※左右の費用合計も等しいので、
単価×月末仕掛品の個数=月末仕掛品原価
左の費用合計ー月末仕掛品原価=完成品原価
といった求め方もできます
「平均法で月末仕掛品原価を求めなさい」みたいな問題はこうやって解きます。
*先入先出法–先に入れたものから出す
先入先出法でのボックスは、作り方は平均法と同じですが使い方は少しだけ異なります。
名前の通り「先に入れたものから出していく」ので月初仕掛品から使われていきます。
なので、計算が少しだけ変わります。
月初仕掛品100個は既に完成品に使われているので残り300個は当月投入を使うことになります。
平均法と同じように左側に費用を書きますが、先入先出法では費用は当月素材費と当月加工費のみを使います。
当月投入分だけで計算するので合計個数ではなく
完成品個数(400)ー月初仕掛品(100)=当月投入分で作った完成品(300)
当月投入分で作った完成品(300)+月末仕掛品(200)=当月投入分(500)
この当月投入分で割ります。1=1みたいな説明になってしまったのですが、
当月素材(当月加工)費 / 当月投入=単価
こういうことですね。
ここで出した単価×月末仕掛品個数=月末仕掛品原価
当月素材(当月加工)費ー月末仕掛品原価=完成品原価
「先入先出法で月末仕掛品原価を求めなさい」みたいな問題はこうやって解きます。
案外簡単なんです。
問題文がややこしいだけで。
ここでやった計算は次でやる標準原価計算でも使います。
*ひとやすみTips*
徒歩五分圏内にローソンがあるが、隣に大学があるので昼に行くとめちゃめちゃ混んでる。
標準原価計算の解き方
前編最後を飾るのは「標準原価計算」!!!!
覚えておくと管理会計でも使えます。
直接材料費差異の分析
例:マインクラフトの砂漠地帯で木造建築の城をつくろうとしている人
①標準原価カード(製品一つあたりの標準原価を記したカード)
標準単価 | 標準消費数量 | 金額 | |
直接材料費 | エメラルド2個 | 2スタック | エメラルド20個 |
②生産データ(木材)
月初仕掛品:100個(加工進捗度50%)
当月投入:500個
合計:600個
月末仕掛品:200個(加工進捗度40%)
完成品:400個
③当月の実際直接材料費
直接材料費実際発生額:エメラルド1120個(実際単価:エメラルド4個 実際消費数量:1500スタック)
まず、前の総合原価計算でやったのと同じ方法で生産データを整理しましょう。
今回は素材ボックスが製造ボックスという名前に代わります。
そしてこの「直接材料費差異の分析」ではこの素材ボックス、もとい製造ボックスしか使いません。
加工進捗度を考慮した加工ボックスは「直接労務費差異」に使います。
結局あとで使うので一緒に整理しちゃいましょう(ここでは前と同じ生産データを流用したので同じ値です)
ここで当月投入を求めることができたので、次に「標準消費数量」と「標準直接材料費」を求めましょう。
標準消費数量:標準カードの消費数量2スタック×当月投入500個=1000スタック
標準直接材料費:標準カードの標準単価エメラルド2個×当月投入500個=エメラルド1000個
単位円を無理やりエメラルドに変えているので値があり得ないことになっていますが続けます。
ここまで求めたら長方形を書きましょう!ここまで求めたらあとは楽です。
こんな感じで三つに分割した長方形は小さい四角が標準直接材料費、大きい四角が実際直接材料費を表しています。
求めるのは差異で、なんとこの長方形の上と横の長方形はそれぞれ「材料消費価格差異」、「材料消費数量差異」を表しているので、長方形の面積を求める方法で簡単に差異が求められるのです。
すごい!
計算でマイナスが出たら不利差異、プラスなら有利差異といった具合で差異が分析できました。
*直接労務費差異の分析
①標準原価カード
標準賃率 | 標準直接作業時間 | 金額 | |
直接労務費 | エメラルド4個 | 1時間 | エメラルド25個 |
②当月の実際直接労務費
直接労務費発生金額:エメラルド3000個(実際賃率:エメラルド5個 実際直接作業時間:410時間)
直接材料費差異が計算が出来たならこっちも簡単です。
さっき一緒に整理した製造(加工)ボックスを使ってほぼ同じことをします。
生産データを整理して当月投入を求めたら「標準直接作業時間」「標準直接労務費」を計算します。
標準直接作業時間:標準カードの直接作業時間1時間×当月投入430個=430時間
標準直接労務費:標準カードの賃率エメラルド4個×標準直接作業時間x430時間=エメラルド1720個
ここまで求めたら長方形を書きます。
さっきと違うのは上の長方形が「賃率差異」、横の長方形が「作業時間差異」に変わるぐらいです。
これもプラスマイナスに有利不利があるので付け忘れないように注意しましょう。
おわりに
製造間接費差異の分析、というのもあるけど説明がとってもややこしくなるのでここには書きません。
いかがでしたでしょうか。
四学期の管理会計をやり終えた身からすると、特に後半の再分析についてきちんと理解していたらかなり楽だったなと思い返します。
他学科、他高専の皆さん、経営情報学科はこんなことを学んでいます。
マインクラフトがやりたくなってきました。
では、後編「管理会計」で会いましょう。