皆さんはじめまして。
三度の飯より本が好きな、シロイルカと申します。
(友人に誘われて高専つつうらへやってきました。普段は化学・生物系の勉強に必死な高専生です。)
皆さんは普段、本を読んでいますか?
小さい頃から本が大好きな私ですが、実は高専に入学したばかりの頃は忙しさにかまけてなかなか時間が取れず、暇ができてもついスマートフォンを手に取ってしまう日々でした……。
きっとこれを読んでくださっている皆さんもそうなのではないでしょうか。
でも、本好きの私としてはぜひ皆さんに本を読んで欲しい!
本の楽しさをぜひ皆さんに伝えたい!
そこで今日は、私がこれまで読んだ本の中から、高専生の皆さんにおすすめしたい本を紹介していきたいと思います。
目次
「あえて」本を読むメリット
はじめに、なぜ私が皆さんに「本を読んで欲しい!」と思っているのか、お伝えしたいと思います。
といってもその理由は簡単、ズバリ楽しい!からなのですが、今日はそれだけではなく、あえてSNSやゲームを一旦ストップしてまで本を読むメリットについて考えてみます。
まず1つには、「ためになる」から。
本を読むことで身につく力はたくさんあります。
何よりも、文章を読む力。これは、学校での勉強、例えば教科書やテストの問題文を大急ぎで読むときにも役立ちます。
将来はもしかしたら論文をたくさん読まなければならないかもしれません。
漫画やゲームのセリフにも文章はありますが、長い文章をまとめて読むならば本を読むのが手っ取り早いですよね。
そして、「人生に深みが出る」から。
文章を書くときにはとても頭を使います(もちろん今の私も!)。
それを読むときにも、やっぱり頭を使います。
本によっては内容がとても難しいかもしれませんし、小説の主人公の人生について想いを馳せてしまうこともあるでしょう。
そんな体験が一冊ごとに積み重なっていくことで、読む側の人生や心も、だんだんと深まっていくと思うのです。
そしていつか、ちょっとした拍子にその経験が思いもよらない形で自分を助けてくれるかもしれません。
例えば通学の電車の中、元気いっぱいなのに濃厚接触者になってしまったとき、何もすることがなくてつまらないとき、あるいはもしかしたら試験勉強が手につかないとき?
たまには思い切って、本のページをめくってみませんか。
ジャンル別「高専生のための本紹介」
恋愛
まずは私たちの年齢にぴったりな恋愛ものからご紹介します。
といっても、今日このジャンルでご紹介する2冊にはあまり恋愛要素がありません……
どちらかと言えば「現代もの」というイメージで選んでみました。
「キケン」有川浩
とある工科大学を舞台にしたこの作品を1番最初に持ってきたのには理由があります。
私の高専の知り合いの中で、この本を読んだことがある人の割合がダントツで高いんです!
成南電気工科大学「機械制御研究部」。
それは、危なすぎる実験や破壊行為から略称「機研(キケン)=危険」と恐れられる部活。
みんな、爆発は好きかーーーー!
機研の黄金期、文字通りキケンな理系男子たちの青春物語がそんな言葉で幕を開ける……!
「図書館戦争」などで知られ、軽快で臨場感あふれる筆致が魅力の有川作品。
爽快な読後感はもちろんのこと、特に工業高専で学ぶ皆さんにとっては馴染み深い描写もたくさんあるのでは。
「愛なき世界」三浦しをん
こちらも大学を舞台にした物語ですが、雰囲気は大違い。国立T大学理学部の植物学の研究室が舞台です。
洋食屋の見習い・藤丸陽太は、ある日出前に向かったT大理学部で院生・本村紗英に出会い、恋をする。
ところが本村は恋愛に興味ゼロ。日々大好きな葉っぱの研究に夢中だった……。
文庫版の帯にある「研究は、推し活だ。」というキャッチフレーズ通り、ちょっと偏った愛にあふれた物語です。
こちらはもしかしたら化学・生物分野の学生にはあるある!な描写が見つかるかもしれません。
卒業研究を頑張る人にもおすすめの一冊です!
- 愛なき世界 -三浦しをん 著|単行本|中央公論新社 (chuko.co.jp)
- 愛なき世界(上) -三浦しをん 著|文庫|中央公論新社 (chuko.co.jp)(文庫版には用語集などもついています!)
ファンタジー
続いてファンタジーもの。
私が好んで読むジャンルではありますが、そのせいで初心者向けというには少しボリュームのあるセレクトになってしまいました。
「ハリー・ポッター」シリーズ J.K.ローリング
言わずと知れた超有名シリーズ。
映画やテーマパークのアトラクションなどでは知っていても、原作を読んだことがない人もいるのではないでしょうか。
今回この作品を紹介しようと思ったのは、実はこの作品が学園ものだからです。
主人公のハリー・ポッターは、魔法使いのための学校、ホグワーツ魔法魔術学校に入学することになります。
ハリーはここで寮に入り、友達を作り、授業や課題に追われながら、様々な人と出会っていくのです。
皆さんの中にも、高専に入学して学生寮に入った人がいると思います。
あるいは、レポートなどの課題が終わらず、友達に助けを求めたことがある人も……?
「ハリー・ポッター」シリーズは外国が舞台のファンタジー作品ですが、自分との意外な共通点を探して読むのも面白そうです。
また、セリフに合わせてフォントの種類や大きさが変わるなど、楽しく読める作品でもあります。
最近は文庫サイズのものが出ているので、気軽に持ち運んで読めるのもいいですね!
- ハリー・ポッターと賢者の石 – 株式会社 静山社 (sayzansha.com)(こちらは一番メジャーな単行本の一巻です)
- ハリー・ポッターと賢者の石 1-Ⅰ – 株式会社 静山社 (sayzansha.com)(最近よく見かける文庫版の一巻)
「香君」上橋菜穂子
「精霊の守り人」などで知られる上橋菜穂子の最新作です。守り人シリーズはドラマ化、「鹿の王」もアニメ映画化されましたね。
この物語の舞台は架空の国、ウマール帝国。
この国には「香君」という女神によってもたらされた、人々を豊かにしてくれる奇跡の稲「オアレ稲」がありました。
しかしこのオアレ稲に、あるとき恐ろしい虫害が発生し、人々は深刻な食糧危機に陥ってしまいます。
香りを「声」のように感じることのできる少女、主人公アイシャはオアレ稲のあげる香りの声を聞き、その謎に立ち向かっていくことになりますが……。
「鹿の王」、「香君」はどちらもファンタジーですが、描かれる異世界は科学の知識で綿密に織り上げられており、リアリティがあります。
単行本で上下巻の長編ですが、一度読み始めたら止まらなくなること間違いなしの作品です。
ミステリー
「古典部」シリーズ 米澤穂信
アニメ化、実写映画化もされたライトノベルシリーズで、一作目の「氷菓」は昨年第166回直木賞受賞作家となった作者のデビュー作でもあります。
主人公の高校一年生、折木奉太郎は、姉の勧めにより廃部寸前の「古典部」という謎の部活に入部。
同時に入部した好奇心旺盛な同級生、千反田えると共に、日常の中の様々な謎を解き明かしていくことになりますが……。
米澤作品には様々な雰囲気を持つ作品がありますが、こちらは高校生のキャラクターたちに感情移入もしやすく、読みやすいシリーズです。
日常の謎解きが楽しめる米澤作品としては、この他にも「春期限定いちごタルト事件」に始まる「小市民」シリーズ、「本と鍵の季節」に始まる「図書委員」シリーズなどもおすすめです。
- 「氷菓」 米澤 穂信[角川文庫] – KADOKAWA(「古典部」シリーズ一作目)
- 春期限定いちごタルト事件 – 米澤穂信|東京創元社 (tsogen.co.jp)(「小市民」シリーズ一作目)
- 本と鍵の季節/米澤 穂信 | 集英社 ― SHUEISHA ―(「図書委員」シリーズ一作目)
SF
「宇宙の声」星新一
ショートショート(超短編小説)の神様とも呼ばれる星新一。
気軽に読めて面白いショートショートははじめての読書にぴったりですが、今回はあえてもう少し長めの作品をご紹介します。
「宇宙の声」は、ミノルとハルコという子供たちが宇宙特別調査隊として宇宙に出かけるところから始まる物語。
角川文庫版の「宇宙の声」には表題作に加えて少年ノブオが父を探しに宇宙へ飛び立つ「まぼろしの星」という中編も収められています。
どちらも子供・若者向けに書かれた作品ですが、大人が読んでも面白い傑作です。
「タイム・マシン」H.G.ウェルズ
こちらは古典的なSF作品。
作者のウェルズは「SFの巨人」とも称され、現在でもよく使われる様々なモチーフの生みの親です。
時間旅行のできるタイムマシンを最初に作品として描いたのもこの作品が初めてだと言われています。
時間旅行者(タイムトラベラー)は自分が発明し完成させたタイムマシンに乗って未来の世界を旅します。
そこには未来の人類が暮らす想像を絶する世界が広がっていました……。
昔の作品で少々難解なところもありますが、子供向けのレーベルでも出版されており、私が読んだ岩波少年文庫版などは読みやすかったです。
映画化もされているので、興味のある方はぜひ(映画版は話がちょっと変わっているところもあります)!
- タイムマシン – 岩波書店 (iwanami.co.jp)(岩波少年文庫版。子供向けです!)
「ホーキング博士のスペース・アドベンチャー」シリーズ ルーシー&スティーヴン・ホーキング
「車いすの物理学者」として知られるホーキング博士が、世界中の子供たちのために長女のルーシーとの共作で書いた児童文学シリーズです。
「科学嫌い」の家庭に生まれた主人公ジョージは、ある日隣家に引っ越してきた少女アニーと、その父で天才科学者のエリックに出会い、そこからジョージの大冒険が始まります。
この作品のすごいところは、ホーキング博士をはじめとした著名な科学者たちの書いたコラムや、宇宙、科学にまつわる写真入りの分かりやすい解説なども載っていて、物語に加えて楽しむことができるところです。
私は高専に入ってから、物理の授業のあとにこの本を読み返しました。
「科学」×「本」!「科学道100冊」
最後に、「科学道100冊プロジェクト」というものについてご紹介します。
これはその名の通り、本を通じて科学者や、科学のおもしろさを伝えようというプロジェクトで、理化学研究所と編集工学研究所によって毎年開催されています。
研究者たちによって選ばれた本が全国の書店などで紹介されており、私は地元の図書館で出会いました。
「科学道100冊」は、年ごとの「テーマ本」50冊と、時代を経ても古びない「科学道クラシックス」50冊で構成されています。
今回は「科学道クラシックス」の中から、私が読んだことのある2冊をおすすめ本としてご紹介してみたいと思います。
「微生物の狩人」ポール・ド・クライフ
微生物を初めてその目で見た人が誰か、ご存じですか?
この本は、微生物研究に関わった13人の研究者を順番に紹介していく列伝記です。
実は私はこれを読んだとき授業で微生物について習ったばかりだったのですが、「教科書と同じことが書いてあるのに教科書より断然面白い!」と感動しました。
先ほど「恋愛」ジャンルでご紹介した「愛なき世界」にも通ずるものかもしれませんが、とにかくちょっと偏りすぎたヘンな人がいっぱい出てきます。
もしかしたら、皆さんの学校の先生にもこんなタイプがいるかも……?
「ソフィーの世界―哲学者からの不思議な手紙」ヨースタイン・ゴルデル
こちらは「科学」というより「哲学」という学問のお話です。
ある日、14歳のソフィーという女の子のもとに一通の手紙が届きます。
「あなたはだれ?」
そこからソフィーは、次々に届く不思議な手紙と、アルベルトという先生に導かれて、哲学というものについて学んでいくことになります。
自分とは誰か、世界はどんなものなのか。
その謎を考えることは、ひいては科学をはじめとする様々な学問を研究することにつながっていきます。
ただ、この本はとんでもなく分厚い!そして難しい!ので、気軽な読書にはあまりおすすめできないかもしれません。
私も読み終わって最初に首を傾げたことを覚えています……。
でももし、あなたが自分の生きるこの世界について何かヒントが欲しいなら、そんなときにこの本に出会ったら、ぜひ読んでみて欲しいと思います。
さて、合計10冊の本をジャンルごとに分けてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
読みたいなと思える本はあったでしょうか?
課題、試験、その他もろもろに忙殺される日々ですが、ちょっとしたスキマ時間を活用して、もっとたくさん本を読んでいけたらいいなと思います!