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はじめに
高専卒業生の進路は、大別すると、企業への就職、大学への進学、専攻科への進学と分かれており、高専機構が公開しているデータによれば、令和元年度卒業した高専生のうち約22%が大学へ進学しているようです。
高専設立当初、進学率が1割未満だったことを考えれば、多くはなったものの、全体と比べればまだまだ少数で、圧倒的に情報が足りないといえます。
そこで今回は、今現在大学編入を目指している高専5年生の私が、知らなきゃ損する編入学の基本情報についてお伝えしたいと思います。
今回は主として、進路を決めかねている低学年の皆さんに具体的なイメージを持ってもらい、あわよくば進学先の大学を決めてもらうことを目標にしました。
高専からの大学編入について考えよう
初めに、高専からの大学編入について簡単に説明したいと思います。
皆さん知っての通り、高専は中学校卒業後に入学する5年制の学校であるため、高専5年次は大学2年次に相当します。
そのため、高専を卒業後、一部の大学を除いては、通常大学3年次に編入することになります。
また、高専はそのほとんどが工業高専であるため、進学先は主に工学部になることが多いです
もちろん他学部を受験することは可能ですが、募集人員として高専卒業生を受け付けていない、または習ったことのない専門科目を受験することになる場合があるので注意しましょう。
下調べは低学年から
大学編入試験は一般的に6月から8月の間で実施されます。
5年生になってから大学を調べるというのは少し遅いので、受験する大学は4年生のうちに、勉強期間のことを考えて、できれば低学年のうちに決めておきたいところです。
決め方のポイントについては後で詳しく説明しますね。
一般的な大学受験と比べてみよう
次に、高校生が受ける一般的な大学受験と比較してみましょう。
まず、1番の違いは、編入勉強には独学しか選択肢がないという点です。
一般的な大学受験の場合、進学校であれば学校の授業で、そうでなくても予備校の授業で受験勉強を進めることができ、手厚いサポートを受けることができます。
授業と課題で余裕がない?
ところが高専では、学年が上がるにつれて専門科目の比重が大きくなっていき、受験勉強にとりかかる4年生、5年生になると、時間割は一般科目を探すのが大変なくらい専門科目で埋め尽くされ、もちろん実験のレポートも容赦なく出されます。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
1 | 現代文 | 電子回路 | 信号処理 | 電気材料 | 電気回路 |
2 | 制御工学 | 電力輸送 | 高周波工学 | 電気数学 | 電気機器 |
3 | 電気回路 | 数学演習 | 基礎実験 | 創造実験 | 電力変換 |
4 | 基礎実験 | 創造実験 |
こちらはある高専生の4年次の時間割(科目名は一部変更)となっています。
見ての通り、現代文と数学以外は専門科目のオンパレードですね…。低学年の皆さんは先輩や先生に高学年の時間割を見せてもらうと、1年後、2年後の自分のイメージがしやすいと思いますよ!
学校の授業では対策できない…
大学によってはこういった専門科目を出題する学校もありますが、一般科目を出題する大学を受ける場合、学校の授業ではあまり対策ができないということに注意しましょう。
また、参考書の量にも違いがあります。
一般的な大学受験では毎年数十万人が受験する中、編入試験では毎年数千人しか受験しません。市場の規模が小さい分、編入用参考書の種類が少ないというのが現状なんです…。
大学編入試験の特徴を知ろう
学校での対策も予備校もなく、また参考書の選択肢も少ない編入試験。
ここまで見てくれた皆さんはおそらく「なんて過酷なんだ」と感じたことでしょう。ですが、実をいうと、編入試験には嬉しい点もあるんです。
編入試験では科目数が少ないことがメリット
それは科目数が少ないということです!
一般的な大学受験(国立大学)の場合、共通テストで7科目を受けたうえで、さらに大学ごとの二次試験があり、文理問わず、とても多くの科目について勉強する必要があります。
それに比べて編入試験では、基本的に2科目から4科目というかなり少ない科目数で受験することができます。受験科目として多いのは、英語、数学、物理、化学、専門科目です。特に、英語と数学は積み重ねが重要な科目ですから、低学年のうちに意識して学習するといいでしょう。
いずれ、個別の対策についても記事を書きたいと考えていますが、今回はこの程度の紹介に留めておきますね。
もちろん、受ける大学や受験方法によっては、小論文や面接のみで合否が決定される場合もあります。受ける大学を選ぶときには、募集要項をよく読んで決めるようにしてください。
先輩が進学した大学を見てみよう
大学編入試験についてよくわかったところで、こちらをご覧ください。
これは皆さんと僕の先輩にあたる、平成30年度と令和元年度の高専卒業生の進学先を示した表です。
名だたる大学が並んでいることがわかりますね。それもそのはず、なんと合計進学者数上位50大学のうち、47大学が国立大学となっています!
必ずしも名が知れた大学へ行けばいいというわけではありませんが、高度な教育を受け、大規模な研究をしたいのであれば、国立大学へ行くという選択肢は外せません。
また、試験の実施日がそれぞれ違うため、運悪くかぶっていなければ、いくつも受験することが可能です。
国立大学のすべり止めが国立大学という、一般的な大学受験では考えられないこともできるんですね。
自分が受験する大学を決めよう
さあ、いよいよ皆さんが受験する大学を決める時がやってきました。
とはいっても、今のほんの数分で大学編入についてのすべてを知れたわけではありませんから、まだ決めるときではないと考える方が大半でしょう。
でも、そんなに身構えなくても大丈夫です。進路は後から変えることだってできるんですから。
突然決めてくださいと言われても、最初は何を基準に決めたらいいかわからないと思うので、まずは決めるときのポイントを列挙します。
今まで一つの視点でしか見たことがなかったという方は、以上を頭に入れたうえで、早速、興味のある大学のホームページに行ってみましょう!
当たり前のことに思えるかもしれませんが、案外、多面的に選んだことがないという人は多いのです。
大学のホームページ以外に、大学編入体験談も選択に役立ちます。個人ブログや体験談サイトで公開されているので、この機会に検索してみましょう。
受験の経緯や勉強方法など、役立つ情報がきっとあるはずです。
おわりに
ここまで見てくださった皆さん、ありがとうございます!初記事として、大学編入の基本情報について書かせていただきましたが、いかがだったでしょうか。
今回は入門ということで、低学年の皆さんに向けて書きましたが、今後は各科目の対策や参考書紹介、また、受験後は編入体験談も書くことができたらなと考えています。タイトルにもある通り、編入試験は情報戦ですから、お見逃しなく!
最後に、この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。ではまた!
※1〜3:国立高等専門学校機構https://www.kosen-k.go.jp/よりデータを引用。