「小論文の勉強って…なにすればいいんだ…!?」
これが,志望大学に小論文の試験があったことを知った私の、最初の反応でした。
理系小論文って人文系のそれと勝手が違うし,そもそも国語苦手だし、どこから手を付けたらいいものかとても困ったのは今となってはいい思い出ですが、当時の私の心情は右往左往のてんやわんや。
刻一刻と迫る試験日。手も足も出ずにただ焦るだけの自分。
二度とあんな思いはしたくありません。
本記事では,極限状態の私が実際に行った小論文の勉強についての紹介と、どうすればより良い小論文対策ができたかについての反省ないし考察を記します。
目次
実際にやったこと
1.「小論文」とはなにかを知ること
初歩の初歩ですが,考えてみれば小論文とはどんな文なのかすぐには説明できないものです。
短い論文、以上。
そうは問屋がおろしてくれないのでおとなしくしっかり定義を調べました。
小論文とは,一つのテーマについて簡略に論点をしぼって書いた論文。
自分の主張を論理的に述べた文章のこと。
なるほど。これではじめてスタートラインに立てた気がしました。
私にとっては大きな飛躍です。
次に,小論文の参考書を買ってみました。
自分の拙い作文を、より論理的に、より知的に見せる書き方を学び、まず形から小論文に近づけようと考えたからです。
頭括型、尾括型、ふむふむ。少し自信がついてきました。
2.過去問を見ること
対策を講じるには傾向を知らねばなりません。
過去5年分の問題をかき集めて、自分なりの答案を作成しようと奮闘しました。
しかし、悩ましいことに全く筆が進まないのです。
課題文の内容をうまく咀嚼できず、言いたいことがまとまらないのです。
ここで私は思い出しました。
これは理系小論文であると。
理系小論文とは,小論文の中でも環境問題や研究技術についてなど理系のテーマが与えられるものをいいます。
なかにはデータを与えられて,ここからわかることを考察するものもあります。
一般人文系の小論文で与えられるテーマはもっぱら時事問題についての意見や,文学作品の要約です。
論理的に記述する必要はあれど,ある程度読解力が身についていて,日常的にニュースなどで社会に触れていれば全くわからないということはないように思います。
しかし理系小論文はテーマがより専門的なものであるため,課題文を理解し,論述するためには普段の生活では触れることのない知識が必要になります。
試験日本番,与えられた課題文に書かれた専門用語の意味がわからなければ思考はそこで打ち止めになってしまいます。
対策すべきは専門分野の内容だった
私は一旦書くのを諦め、専門分野の勉強をはじめました。
私の希望分野は生物学だったので、内容は基礎生物学・発生・遺伝・行動・生態系・進化 etc…と範囲がとても広かったです。
高専に在学していればまずほとんど授業ではまかなえない分野なので90 %独学で踏ん張っていました。
ひとまず過去問の答案を作れるだけの知識をつけて、それを中心にまんべんなく覚えていくことで傾向と対策を把握していきました。
YouTubeで講義動画を漁って勉強し、用語はクイズアプリや問題集を購入して正誤判定しながら覚えていきました。
答案は先生に添削してもらう
作成した答案は片っ端から先生に添削していただきました。
私が実際に行った小論文対策はこれくらいです。
さして手法はシンプルですが,とにかく数をこなして長文を書くことに慣れろとは添削していただいた先生からの言であり、2ヶ月ほど勉強と記述練習を続けた結果、晴れて第一志望に合格することができました。
やっておいてよかったこと
1.先生に添削をしてもらう
小論文という問題の性質上、自己採点ができないのがこの勉強最大の難点といえます。
たいてい過去問に模範解答などついていません。(まああったとして、それを覚えたとして、同じ問題は出ないのだから無意味でしょう。)
だから書き上げたとき、自分では100点満点の答案がつくれたことに達成感を覚えるのですが,そのままの認識で本番に挑まなくて本当に良かったと思います。
先生に添削をお願いしたらボロボロにペケをくらいました。
作っては見てもらい、修正しては見てもらい、OKをもらったらまた次の問題へ。
これを繰り返して小論文の正しい書き方を身に着けていきました。
私は希望分野の関係で、バイオ工学を専門とする先生に見てもらいましたが、専門の先生にすべてお世話になる必要はないと考えます。
先生方は論文を書くことにおいてもプロ中のプロなので、論文の体裁をチェックしてもらうくらいであれば、専門外の先生にもどんどん突撃してとにかくたくさんの先生に見てもらうのがいいと思います。
先生によって良しとする体裁がすこしずつ異なるかと思いますので、添削を受けていく中で自分の一番書きやすい体裁を見つけていってください。
私は双括型で書くのが一番しっくり来ました。
2.サイエンスニュースやプレスリリースを読む
基礎を学んだだけでは応用がきかない
志望大学の小論文は,近年のサイエンスニュースや論文から課題文が出される傾向にあることがわかりました。
生物学の基礎を学んだだけでは応用が効かないことを痛感しました。
そこで、私は普段お世話になっている先生に、過去1年分の科学誌を貸していただき試験に出そうな題材を探して読み漁りました。
なんとそのうちの一つがテーマとして試験に出ていました。
与えられたいくつかの語句を使って記述する系統の問題だったのですが、語句の一つに「収斂進化」という言葉がありました。
恥ずかしながらあの科学誌を読んでいなければ、全く意味がわからない言葉でした。
何冊も科学誌やサイエンスニュースを読み漁ったあの時間が、少しでも試験に活かされたことを嬉しく思いました。
同時に、もっとしっかり読み込んでおけば完璧に答えられたと後悔しています。
効率よく進めるなら科学誌を読んで分からないところから
この経験から,範囲の広い基礎生物学からちまちまやるよりも、先に科学誌などを読んで、知らない語句や説があった場合は基礎に戻って復習するという方法をとったほうが、効率もよく途中で何度も心が折れなかったのではと思いました。
基礎勉強を怠っていいというわけではありませんが、有り体に言ってしまえば基礎勉強はとてもつまらないです。
例えるなら、これから誰もが感動する小説を書こうと意気込んで、漢字ドリルでちまちまと漢字を書く練習をするようなものなのです。
今だから言えるけれどあきらかに悪手でした。
先に題材集めから進めれば、傾向と対策に直結するし、興味のある記事は基礎勉強のモチベーションを上げます。
まとめ
記述に慣れることが大事
普段国語の授業のない高専生がいざ小論文の試験に向けて勉強しようとすると,やるべきことがわからなすぎて,やるべきことが多すぎて,困り果ててしまいます。
高専生が常日頃から論理的な記述や正しい文章構成を考える機会といえば実験レポートくらいでしょうか。
ですから,上記の方法がしんどいと思ったら,日々実験レポートを書くときにどうしたらもっと伝わりやすい文章が書けるかを意識しながら書いていると後々少し楽かもしれません。
つまるところ記述になれることが大事ということになります。
日頃からネットで音楽を聞いていると意識しなくても歌えるようになっているのと同じで、ようは慣れです。
一人で進めず、第三者を頼る
あとはとにかく他者を頼るべきだと考えます。
小論文は理系と言っても数学や化学と違って明確な正解がありません。
出題者が意図した解をひとりで導き出すのは難しいので、頼れる第三者を交えて、自分の答案を限りなく正解に近づけていってください。