目次
はじめに
こんにちは、経営情報学科二年、午前一時です。
皆さんは「経営情報学科」という学科を知っていますか?
あまり聞き馴染みのない学科だと思います。(なぜなら、全国に一つしかない学科なので)
専門科目は主に簿記、原価計算といった経営関係です。
一年生のうちに簿記三級の内容を大体習えるので、一年生のうちに簿記三級をとることも可能です。
さて、今回の記事では二年生で習う簿記二級、一級範囲の「原価計算」と「管理会計」について前後編に分けて取り上げます。
ここは後編です。
前編はこちら→高専で1つしかない経営情報学科の私が原価計算についてまとめてみた(前編) – 高専tutuuraura (kosen-tutuura.com)
後編では「管理会計」の、特に午前一時がこれは覚えてたほうがいいなと思った分野について書いています。
管理会計は原価計算の進化系みたいな体感でした。少しムズカシイカモ。
管理会計ってそもそも何?
企業会計を構成する会計システムの一つ。
原価計算では製造品の原価を計算したりしましたが、この管理会計では企業の意思決定などを決めたり、何が会社にとって有利なのかを採択するための計算が増えます。
前編でマインクラフトに例えるとエメラルドの価値がバグることが分かったので普通に単位:円で進めます。
理解しておきたい単語
損益分岐点
ITパスポートの勉強をしたことがある方は聞いたことがあるかもしれません。
名前の通り損益を決める分岐点のことです。損益分岐点での売上高や販売数量を計算することができます。
例えば、今年度の売上高が2000円、変動費が400円、固定費が700円でした。損益分岐点売上高を計算しなさい。
また、目標利益5000円を達成するために必要な売上高はいくらですか?という問題があったとする。
損益分岐点売上高を求めるのにはまず「変動費率」を求める必要があります。
この変動費率は変動費を売上高で割って求めます。
例では 400÷2000=0.2 です。
変動率が求められたら損益分岐点売上高が求められます。
式は次の通り
損益分岐点売上高=固定費÷(1‐変動費率) なので、例では 700÷(1‐0.2)=875円
このように求められます。
目標利益を達成するために必要な売上高を求める式は損益分岐点売上高を求める式に似ていて、損益分岐点売上高の式の分母の固定費に目標利益を足した形になります。
なので、例では 700+5000÷(1-0.2)=7125円 このようになります。
この時点で式が多くて怪しいのですが、計算自体は簡単なので何回かやって身に着けてしまうのが吉です。
機会原価(関連原価分析)
機会原価とは選択されなかった最大利益のことで、最大利益を除いた時の最大利益(つまり二番目に大きい利益、得られたであろう最大の利益)です。
何か選択をして消えてしまったうちの最善策といったところでしょうか。いつも最善を選択したいものです。
このとき、案がいくつか出てきますが、まず「利益」を求めましょう。
売上高から製造原価を引くと利益が求められます。
例えば、@100円で売れる商品がある。この商品には@10円の材料と@40円の変動製造間接費が必要になる。
この商品が100個売れた時を考えてみましょう。
売上:@100(売上単価)×100個(売上数量)=10000円(売上高)
製造原価:@10×100個=1000円(材料費)
@40×100個=4000円(変動製造費)
1000円+4000円=5000円(製造原価)
利益:10000円(売上高)ー5000円(製造原価)=5000円(利益)
このような計算で利益が求められます。
利益が求められたら各案で比べましょう。
比べた時に二番目に多いのが機会原価になります。
この機会原価、期末で突然出てきて何人かが悲鳴を上げていたのですが、とにかく「二番目に多いのが機会原価である」というのを頭の隅の方でいいので置いておきましょう。
もし突然出てきても解けます。求め方がとっても易しいので。
関連原価分析の特徴
いろんな可能性から最善を選ぶので、意思決定問題が発生します。
1、部品を自製するか、外注するか
2、追加注文を引き受けるかどうか
3、追加加工を行うか販売するか
関連原価分析は、「どちらが幾ら有利か」が問われるため、場合分けして計算すれば解ける、数学の文章題のようなものです。
例題を調べてみたのですが軽く目を通しただけでは首をかしげるだけになります。
簿記が数学と違うところは四則演算が出来ればどうにか解ける、というところ。
読み取ることが出来れば解ける。
とはいえ、簡単な問題から解いてみましょう。
1、部品を自製するか、外注するか
例:A社は部品100個を単価20円で自製しているが、同じ部品を単価30円で外注できる。
外注した場合、自製する際の固定費1500円を削減することが出来る。
自製:100個×@20=2000円
外注:100個×@30=3000円
3000円ー1500円(削減できる固定費)=1500円
ここで計算しているのは「製造原価」ということに注意しましょう。なので少ないほうが有利です。
つまり外注したほうが500円有利!ということになります。
2、追加注文を引き受けるかどうか
例:A社はB社から商品100個の追加注文の問い合わせを受けた。
A社の生産能力は余力があるが、B社は追加注文する分は通常分よりも三割安い一個当たり60円にすることを要求している。
商品の製造原価資料
直接材料費:5000円
直接労務費:8000円
変動製造間接費:400円
固定製造間接費:15000円
月次生産数量:200個
この問題の時は有利か不利かを考える問題です。
まず追加分の売上を求めます。
@60×100個=6000円
次に、製造原価資料から製品一つ当たりの製造費を求めます。
このとき、固定費は生産数量が変化しても発生額は変化しないので固定費は計算しません。
なので、直接材料費、直接労務費、変動製造間接費をそれぞれ月次生産数量で割ります。
直接材料費:5000円÷200個=25円 直接労務費:8000円÷200個=40円
変動製造間接費:400円÷200個=2円
この計算で製品一つ当たりの製造原価が求められたので、これらを足して追加分の製造原価を求めます。
(25+40+2)×100個=6700円
追加分の利益を求めます。
6000円(売上)ー6700円(製造原価)=‐700円(不利)
追加注文を引き受けたら‐700円不利になるので、今回は引き受けないのが良い。ということになります。
3、追加加工を行うか販売するか
例:A社はB社から商品を半製品で200個購入したいと問い合わせを受けた。
この半製品の製造原価は単価50円で、B社は単価100円で購入すると提示した。
この商品を完成品にするには単価+35円の追加加工費がかかるが、完成品の販売単価は150円である。
半製品のまま売るのと完成品にして売るのはどちらがA社にとって有利か。
完成品として売る場合の収益の差額を求めましょう。
150円(完成品販売単価)ー100円(半製品販売単価)=50円(差額)
50円×200個=10000円 (差額収益)
次に完成品として売る場合の原価の差額(追加加工費)を求めます。
35円×200個=7000円 (差額原価)
収益から原価を引くと利益が分かるので、10000円ー7000円=3000円
これが差額利益で、有利なので完成品として売ったほうが有利ということが分かります。
*ひとやすみTips*
宇部高専では売店のホットスナックでハッシュドポテトや揚げ紅葉、たこ焼きが買える。
おいしい。
予算実績差異分析(売上)
「差異分析」ってどこかで見たことがある気がしませんか。
そうです。前編に出てきています。
前編で言っていた「やり方を覚えておくと管理会計でも使える」というのはここに繋がっています。
特にこの差異分析は前回の標準原価計算でも使ったあの長方形を使って求めることが出来ます!
*売上高予算差異の分析
前回は「実際」と「標準」を比べましたが、今回は「実績」と「予算」で比べます。
売上高予算差異では標準原価計算と同じように外側(実績)から内側(予算)を引いて差異を求めます。
売上高予算差異を分析するときは「販売数量」と「販売価格」の資料を使います。
*売上原価差異の分析
パッと見さっきと同じような文字列ですが、「売上原価」です。計算方法が異なるので注意しましょう。
長方形の作り方は変わらず外側の大きい長方形が実績、内側の小さい長方形が予算ですが、売上原価差異は内側(予算)から外側(実績)を引きます。
売上高予算差異とは逆になるので気を付けましょう。
分析するときに使う資料は「販売数量」と「売上単位単価」です。
*売上総利益差異の分析
「総利益額差異」は外側(実績)から内側(予算)を引いて実際販売量を掛けて求めることができます。
実は長方形を使って求めることができます。
(実際に期末テストで式をド忘れしたときにどうにかなってくれという気持ちで長方形を使って解いて正解したので)
問題は次です。
販売数量差異:(予算単位売上総利益×実際販売量)‐予算売上総利益
この式。流れが見えてきたな、って思ってたら急に括弧の中に掛け算が出てくる。
「予算単位売上総利益」っていう単語もトゲアリトゲナシトゲトゲみたいなものを感じますが、「予算」の「総利益」の「単位売上」だと思います。
言葉の意味に意識を向けたことがあまりない(そういうものとして認識していた)ので憶測なのですが。
余談は置いておいて。
この式はいままでの流れで見ると異端のように感じますが突然「微分しなさい」って言っているわけではないので覚えたら解決します。
他は長方形を書けばどうにか解けるので、最悪この式を強く覚えるぐらいでもいいと思います。もちろん全部きちんと覚えるのがいいです。
高専tutuuraには暗記法を書いている記事があるのでそれを読んでみてもいいと思います。
・設備投資
投資案の選択のための計算です。
様々な方法がありますが、どの方法にも欠点があるため場合によって用いる方法が変わります。
ただ、テストではきちんと「どの方法を用いて計算せよ」って書いてあるので習った方法は覚えましょう。ここでは2つ紹介します。
①原価比較法
主に生産設備について用います。「原価比較」なのでいわゆる生産コストを計算し比べて少ない方を採択します。
例:生産能力に差がない設備Aと設備Bがある。
以下の資料によって、原価比較を用いてどちらを採択するか決定しなさい。
定額法による減価償却(残存価額はゼロ)を行い、投資資金は銀行からの借入(年利2.5%)で調達しているものとする。
A | B | |
設備投資額 | 5000円 | 3000円 |
年間製造原価(減価償却を除く) | 6500円 | 4500円 |
耐用年数 | 5年 | 10年 |
減価償却:設備投資額÷耐用年数 支払利息:設備投資額×年利
年間製造原価+減価償却+支払利息=生産コスト(少ないほうを選ぶ)
A‐減価償却:5000円÷5年=1000円 支払利息:5000円×2.5%=125円
6500円+1000円+125円=7625円
B‐減価償却:3000円÷10年=300円 支払利息:3000円×2.5%=75円
4500円+300円+75円=4875円
Bの方が生産コストが少ないので採択すべきはBである。
原価比較法は単純で分かりやすいです。
欠点としては、どちらが多く利益を出せるかという計算が出来ないため利益予測が正確にできない点です。
②回収期間法
何年で投資した金額が回収できるかを計算する方法です。これも少ない方を採択します。(回収期間が短い=投資資金が早く回収できる)
例:A案とB案がある。以下の資料によって回収期間法を用いてどちらを採択するか決定しなさい。
A案 | B案 | |
設備投資額 | 6000円 | 5000円 |
毎年のキャッシュフロー | 2000円 | 2500円 |
回収期間=投資額÷毎年のキャッシュフロー
A案:6000円÷2000円=3年 B案:5000円÷2500円=2年
B案のほうが回収期間が短いのでB案を採択する。
回収期間法も計算が簡単で、投資の安全性を重視する場合に使われます。
欠点は、資金回収後のキャッシュフロー(設備投資によって増加する現金流入額)が全く考慮されていない考慮されていない点です。
*ひとやすみTips*
毎日何かの教科を15分復習するといいって英語の先生に教えてもらって実践しましたが、本当に毎日コツコツ続けないと意味がないです。結局毎日復習が大切。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
前後編にわたって経営情報学科の専門科目について触れてみました。
一年生の皆さんや宇部高専経営情報学科を目指していますという方々のなにか参考になれば幸いです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。